英国ロイヤル・オペラ・ハウス『トスカ』
英国ロイヤル・オペラ・ハウスで公演されたオペラ作品を映像で堪能できる。仙台では「フォーラム」で上演されている。3月のこの週は、プッチーニの『トスカ』が上演されている。
プッチーニの音楽は、なんと劇的に人の感情を動かすのだろうか。『トスカ』は、序曲もなく第1幕が上がり、嵐のように音楽も劇も進行していく。プッチーニの音楽を本当に堪能できる作品だ。
トスカの役をロシア出身のエレナ・スティヒナが演じている。肉感的な見事なトスカの役がすばらしかった。この公演が撮影されたのは昨年の12月。ロシアのウクライナの侵攻前だ。今、西側の芸術・芸能関係のロシア出身者は、侵攻とプーチンへの反対の信仰告白をしないと、降板させられたりしている。それを考えると複雑な思いだ。ロシアの侵攻後に、この公演が行われていたらどうなっていたであろうかと。
こういうライブ・ビューイングの良いところは、公演だけを中継するのではなくて、作品の解説をつけてくれたり、リハーサルの様子を映してくれたり、芸術監督や指揮者のインタビューなども伝えてくれて、全体として作品や公演の理解が深まるという点だ。
その様な公演以外の映像を見ていて感じたのは、ここでは男女共同参画が進んでいるのだということだ。日本であれば、男性しか出てこないであろう世界に、ちょうど半分くらい女性がいる。さらには、男性・女性という性別に分類をすることに意味がない人なども登場してきて、逆に、男性ばかりの日本のことを思うと、日本の光景が、異様に思えてくる。そういうことも強烈に感じさせるライブ・ビューイングの作品になっている。

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