UA-92533382-1 よつば農場便り: 2021年4月

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2021年4月17日 (土)

すばらしき世界

殺人事件で服役していた人が出所するが、出所した世間でも、一本気な性格からなかなか対応できない。その主人公を役所広司さんが演じた映画が「すばらしき世界」。

当然、メイクの力もあるとは思うのだが、役所広司さんが演じた主人公の造形が素晴らしかった。硬直気味の性格など内面や喜怒哀楽が本当によく表現できていた。若い役者には時代の花があるが、本当の花は、役所さんのように長年演者を続けてきて培った真実の花だ。役所さんの好演には本当に感動して嬉しかった。

そういう意味で脇役たちも素晴らしい映画だった。身元引受人の弁護士さん、その奥さん、スーパーのオーナー、区役所の生活保護課の人、九州のやくざの親分、その姐さん、ソープ嬢のリリーさんなど脇を固める人たちが素晴らしいと映画に一層リアリティが出る。美男美女だけでは映画は成り立たないし、真実味に欠ける。

監督の演出も光っているし、細部にこそ真実が宿っていた。特に、最後に主人公が雨中にアパートに戻ってきて、洗濯物を取り込むが、一枚だけが取り込まれないで残っている場面。象徴的で映画に現実味を与えていた。要は安っぽい作り物と感じさせないいい映画だったし、社会的な問題提起もしっかりしている映画だった。

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2021年4月13日 (火)

安田浩一氏の論考

河北新報3月25日付に載った安田浩一氏の論考を読み感じるところがあった。

 

安田氏は、東日本大震災からちょうど10年目の今年2月の強い地震で起きたSNS上のデマを取り上げている。「井戸に毒が投げ込まれた」という、海外にルーツのある市民を犯罪者に仕立てたデマが投稿されたのだという。

 

1923年の関東大震災で同様なデマが流れ、多くの朝鮮人や中国人が虐殺された。安田氏は、今回のデマに怒りを覚えるとともにやるせなさを感じるという。というのも、近年自然災害が起こるごとにこうした差別デマが流されてきたからだ。

 

私は、震災当時宮城に住んでいたものとして、安田氏が論考で紹介している次の話に戦慄を覚えた。

 

東日本大震災時、被災地で外国人窃盗団が暗躍しているというデマが飛び交った。これを真に受けた右翼団体が自警団を組織して、被災地に派遣。彼らは治安維持を名目に警備活動を行っていた。自警団のメンバーがネット番組でこういったという。

 

「すれ違う人に声をかけて、中国語でもしゃべろうものならその場で殺ししちゃえ」

 

被災地には、普段から外国人実習生や外国人留学生、外国人労働者がたくさんいて、地域の生活を支えているし、彼らは被災地の人と何ら変わらない。安田氏は、偏見に満ちたこうしたデマは、地域で生きる外国人の存在そのものを脅かすと指摘する。私も、私たちと一緒に地域を形づくっている彼らが、万が一、日本人の暴漢の手にかかったらと思うといたたまれないし、とても申し訳なく思うし、自分の身が痛めつけられているのと同じくらい心が痛む。

 

そして、もしかしたら、災害の混乱時に、痛めつけられるのは私や日本人そのものかもしれない。日本人だって、言葉が不自由な人もいる。寒さで口がうまく動かない事だってある。そして、よその地域から来た人たちに東北弁がわからず何かもごもごと外国語をしゃべっていると認識されることだってある。災害自警団が、人改めをして、しゃべり方で襲う人を分別するのであれば、日本人も手にかかって被害にあう人だって出るだろう。

 

安田氏は提案する。デマの資源となっている差別と、社会の側がきっぱり決別すべきだと。それが、誰かの命を奪わないため、社会が壊れないためだと。「資源」を提供し続けているものは何だろうか?

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