仙台フィル特別演奏会
コロナ感染症拡大の影響で、演奏会が中止されていた仙台フィルが、4か月ぶりに特別演奏会を開催した。山形交響楽団との合同演奏会で、指揮は飯森範親さん。
地元の芸術活動を応援したいという気持ちと、チャイコフスキーの第5番が聞けるというお目当て演奏会に行った。
演奏会自粛を受けて、再開ということで今回の演奏会は特別なものがあった。それは、プログラムに表れていた。「祈り」「未来」「希望」と3部に分かれたプログラム。
「祈り」では、地元プロサッカーチームで用いられているファンファーレ曲が演奏された。そしてブルックナーの宗教曲。この「祈り」部門は、金管のみの演奏だ。
「未来」部門は、エルガーの弦楽曲が演奏された。これは、なかなか聞く機会のない曲だが、飯森さんが「いい曲で、聴きどころが多い」と事前に解説してくれて、本当にその通りで盛り上がった。これは、弦楽器のみで演奏された。
どうしてこういうプログラム編成なのだろうと思ったが、金管と弦楽器が見事に融合、爆発したのが「希望」部門のチャイコフスキーの交響曲第5番だった。金管セクション、弦楽セクション、それぞれが音出しをして、今日の会場や天候具合に慣れたところで、このチャイコフスキーの交響曲が来た。そういうねらいだったのか。
チャイコフスキーの第5番は、どんなメレディーで、次はどんな展開になるというところまで知っているほど聞き込んだ曲だ。でも、生の演奏はCDやインターネットで聞くのと全然違って、いい。チャイコフスキーの素晴らしいオーケストレーションの妙がよくわかる。いま、オーケストラのどの位置の楽器の人たちが演奏しているのか、どこから音が出てくるのかというのが視覚でも聴覚でもわかるから、主題がここからここへ引き継がれているということや、主題がこことこことで違った形で繰り返されているとか、きれいなメロディーを今、ここが奏でているということがとてもよくわかり、本当にオーケストラのだいご味が味わえる。
楽団員の方々もとてもいい音を出してくれて本当に熱演だった。わたしたち聴衆も目いっぱい楽しませてもらい、惜しみない拍手を送った。
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