UA-92533382-1 フクシマフィフィティ: よつば農場便り

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2020年3月 3日 (火)

フクシマフィフィティ

フクシマ核発電所の壊滅的爆発を防いだ英雄たちの映画が放映中である。過酷な状況で、核発電所にとどまり破滅的状況を救ってくれたのは、現場の作業員の方々だ。彼らの勇気ある行動や決断に感謝する。彼らがいなければ、文字通り日本は壊滅的な状況に陥り、誰も国土には住んでいないだろうと思う。

その一方で、そもそも彼らをそんなに苛烈な状況に追い込むようなことがなければ、彼らはそんな体験をせずに済んだのではないか。津波に対して大して何も対策を取る必要がないとした安倍首相の責任や、東京電力の失敗やミスも誤魔化しも、すべて断罪せずに、英雄のおかげで今の日本がある、感謝すべきで終わらせていいのだろうか。軍部の指導者の責任や無謀な作戦は一顧だにされず、「散華」という美名のもとで、特攻攻撃の責任があいまいにされた対米戦争と同じ構図なのではないだろうか。

そんなことを考えさせられたのは、「みやぎ脱原発・風の会」の、事故の状況を推測・検証している記事を読んだからだ。十分に論理的・科学的な論考だと思う。「科学的」ということは、反論しようと思えば、これもまた論理的・科学的に反論できるからだ。資料や証拠を隠匿や消滅させてしまえば、もう賛成・反対の両者から検証できる余地はなくなる。東電や政府のやり方はあまりにもそのようなことが多い。政治的に優位な力で結論をもぎ取るのだ。そういうことに対抗して「みやぎ脱原発・風の会」は、資料や発表を細かく検証している会員がいる。東電や政府の方では、そのような検証はせず一方的にプロパガンダ(宣伝)の形で、結論を得ようとしているのに対し、本当に科学的・良心的だ。こういう会は、天下りも高給取りも誰もおらず手弁当で運営されている。市民や志のある人たちの善意の支援だけが頼りだ。ぜひ、心ある支援をお願いしたい。

さて、事故の原因についての検証であるが、まず『事故時運転操作手順書』では責任者は、「各号機の当直長」であって所長の吉田氏ではないということに注意してほしい。吉田氏の超人的働きばかりに注目が行くが、事故当時の1・2号機の当直長が通常の当直班の当直長ではなかった。このようなトップ交代は、事故の処理に大切な意思疎通に影響を与えたものであると思われる。しかも、1号機と2号機では非常時の炉心冷却システムが全く異なるのに、東電は、1・2号機をまとめて同時に操作させている。そうしたのは、東電の経済的観点からの政策である。

「みやぎ脱原発・風の会」の研究班が、事故は防げた、事故は人災だという根拠に1号機の非常用復水器がある。核発電は、核の崩壊熱を利用するものだから、核反応が止まらなくなればどんどん高温になってしまう。それを防ぐために、電気で冷却するというとても無駄なことをしているのであるが、事故時、全電源が喪失して、原子炉の冷却が不可能になった。そのような緊急時にどうやって炉心を冷却するかと言えば、炉心から出てきた水蒸気を水の中を通すことでまた水に戻し、炉心の水が減って空焚き状態になるのを防ぐ。非常用復水器は、電気の力で起動するのではなく、自然な力で動くので、この非常用復水器を使い続けていれば炉心の冷却に成功し事故を防げたはずである。

実際に非常用復水器は、地震のあとに自動起動した。それは東電も認めている。しかし、なぜ非常用復水器を閉じてしまったかというと、東電は、冷却により原子炉圧力が急激に減少し、「保安規定」を守るためとのストーリーを主張している。しかし、この一号機の非常用復水器が作動したのは運転開始約40年で初めてのことであった。東電は、定期検査のときにも、非常用復水器の運転員の操作・訓練もしないままに、ついに本当の事故で初めて非常用復水器が作動するという状況を招いた。運転員が「操作経験ゼロ」では、訓練通りの事故対応ができるはずがなく、止めることができた事故は操作ミスだったということになる。

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