UA-92533382-1 抗生剤使用の問題点: よつば農場便り

« 認知のゆがみ | トップページ | 歌舞伎「阿弖流為(アテルイ)」 »

2020年2月11日 (火)

抗生剤使用の問題点

今、仕事の関係もあってJuan EnriquezとSteve Gullansが書いた”Evolving Ourselves”という本を読んでいる。バイオテクノロジーの発達のおかげで、人間は、自分が好きなように植物や動物たちの遺伝子を改変し、人間の思ったように作り替えているが、もちろんそのような遺伝子の改変は、病気治療という名目から始まり人間自身にも及び始めている。

このような技術が発展する前は、人間自身も「進化」の力にもてあそばれ、環境に最適なものだけが生き残る「適者生存」によりふるいをかけられ、後世に己の遺伝子を伝えることができるものだけが、その形質を伝えてきた。もちろん遺伝や環境への適応や形質の変化はこんな単純な話ではないのであるが。

ところが人間は意図的にか、もしくは自分たちがやっていることのその大きな影響が分からず偶然にか、自分たちが「進化」の対象になるのでなく、自分たちでさえ「進化」させよう、もしくはさせることになってしまうというところにまで到達した。現在までに到達した遺伝子工学的な技術の紹介や、これから近未来へ向けての予想される変化を紹介し論じているのがこの”Evolving Ourselves”(己自身を進化させる)という本だ。

いろいろと面白いことというか、ぞっとするようなことも紹介されているのだが、ここからいくつか話を紹介したい。1つは、「抗生物質」だ。

抗生物質は病気治療のために、人間にも投与されているが、実は家畜に対する投与ははるかに人間への投与量を超えるという。家畜に対してなぜ投与するかというと、病気予防ではなく「太らせる」ためだそうだ。腸内のある細菌を殺すと、栄養の吸収率が高まり、家畜は効率よく太るという。経済的にはもうかるわけだ。しかし、大量に投与された抗生剤は、家畜の糞尿や雨水などに交じって環境中に放出される。

ここに、こういう現象があるという。実験室で飼われている実験動物の体重が増えているのだという。実験動物だから、30年とか40年というスパンで記録がある。実験室の予算が増えて、気前よく餌を与えるようになったのであろうか?しかし、変わらず牧草を食べているような馬でも増えているということだ。

そこで、犯人は「抗生剤」なのでないかというのが筆者の見立てだ。人間も、世界的に見て「肥満」が増えているし。

しかし、こういうと、放射性の危険性や公害問題では必ず、業界を代弁する専門家が、「証拠がない」「安全である」という。

だが、個人的には、こういう抗生剤があふれる世の中から、自分が食べるものや子どもたちが食べるものは「安全」を守りたいと思う。だから、抗生剤を大量に使う外国の畜産物を輸入するようにその国から脅迫されたら、日本は厳しい規制を守りますと拒否してほしいと思うのだ。エゴかもしれないが、「国民を守る」「国家を守る」ということはこういうことではないか。

ただし、この本はこんなふうに大量に抗生剤があふれ出している人間が作り出した環境さえもが、新しい環境として人間の進化に働きかけ、これまでにない新しい進化を人間に作り出すと言っている。圧倒的に長い歴史上の時間、人間は環境から影響を受け続けてきたが、いま、人間は環境を自分の力で改変することができる。でも、その作り出した環境から逃れられるかと言えばそうではなく、人間が作った環境が人間を改変する。それは人間をいいほうへ導くのか?それとも?というのがこの”Evolving Ourselves”という本のテーマだ。

 

にほんブログ村 環境ブログへ
にほんブログ村

|

« 認知のゆがみ | トップページ | 歌舞伎「阿弖流為(アテルイ)」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 認知のゆがみ | トップページ | 歌舞伎「阿弖流為(アテルイ)」 »