UA-92533382-1 結核菌と人間との共生: よつば農場便り

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2020年2月26日 (水)

結核菌と人間との共生

“Evolving Ourselves”を読んで、興味深く感じたことを紹介する。

結核と言えば、戦前では不治の病。とても恐れられた。一方で、この病気のあることで、戦前の「結核文学」は不滅の輝きを放ったともいえる。療養所にいる本人を投影したと思われる主人公は枚挙にいとまがない。さらには、作家本人もそれで命を落としたという事例は多い。そういう意味を含めて、結核文学と言えば、梶井基次郎、堀辰雄などが思い浮かぶ。

世界文学に目を転じても、トマス・マンの「魔の山」は偉大な結核文学だ。

あれやこれやで私には恐ろしい不治の病というイメージが強い「結核」だが、その病原菌の結核菌は、人間と共生してきたという。

結核菌は人体で死なない。われわれの免疫機能は、彼らを完全なる敵とは見なしていないのだ。結核菌は肺などに潜在し、深刻な致命的な病気になるのは10%程度だという。ではなぜ、結核菌は人体とともに存在するのか?

人間は大きな脳を持ち、脳は多大のエネルギーを必要とする。その脳の栄養になるのがビタミンB3であるが、ビタミンB3は人体で作れず、肉などから摂取する。もし、栄養状態が悪くなり、脳の成長や機能にとって危機的な状況となると、潜在していた結核菌が働きだし、人体にビタミンB3を産生し供給するという。もちろん、深刻な病状により人を死に至らしめる場合もあるのではあるが。そして、栄養状態が改善すれば、再び結核菌は人体で休眠状態に入る。

ということは、人間が、途中で種としての「絶滅」の憂き目にあわず、このように人間らしくなれたのは、結核菌のおかげということもできる。“Evolving Ourselves”という本は、人間の進化の要因に、従来の遺伝子とその変異に加えて、後天的に獲得されて子孫に伝わる「エピジェネティクス」、そして結核菌などの細菌が作る環境である「マイクロヴァイオーム」、ウイルスが作る環境である「ヴァイオローム」の4つを挙げている。細菌が作る膨大な世界というのは、われわれの腸内に存在しているということが認識され始めているが、病原菌と人間との闘いでもあり共存でもあり、共進化でもあるというわけだ。

 

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