UA-92533382-1 歌舞伎「阿弖流為(アテルイ)」: よつば農場便り

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2020年2月14日 (金)

歌舞伎「阿弖流為(アテルイ)」

歌舞伎の舞台を映像に編集し、全国の映画館で見れるようにしてくれるシネマ歌舞伎で「阿弖流為(アテルイ)」を見た。

これは前から気になっていて見たいと思っていた作品だ。まずは、私自身が「まつろわぬ民」として東北に住んでおり、その東北のヤマトからの侵略の歴史が描かれ、民族の英雄である「阿弖流為(アテルイ)」が描かれるこの作品に、私たち「まつろわぬ民」がどのように描かれているのかがとても気になった。

私たちは、2回ヤマトに征服された。まずは、坂の上田村麻呂征夷大将軍が、東北の蝦夷(えみし)を打ち従え、阿弖流為が破れた時。もう一つは、会津藩が、薩長藩閥明治政府に蹂躙された時。そのような歴史を持つ東北の民として、阿弖流為や蝦夷がどう描かれるのか、侵略する側のヤマトがどう描かれるのかがとても気になった。

脚本は複雑で深く考えさせる内容で、かつきわどかった。朝鮮半島から渡ってきた天孫降臨族のヤマト朝廷が、この日本列島は1民族1国家だとして全国の統一を図る。皇軍は雪深いえみしの地へと兵を進める。皇軍は、勝つためであればどのようなことでもする。食料に毒を入れわざと蝦夷に渡したり、川に毒を流し、無辜の女性や子供を殺す。そして、1945年には、アメリカに対して物量で皇軍が敗北したように、皇軍は物量で圧倒して蝦夷を破る。(こういうきわどい内容が、「言論の自由」がいつまでも保障されて上演可能であることを願う)

蝦夷の魂は、この東北の地の山川草木そのもの。そして蝦夷の悲しみもまたこの東北の地の山川草木そのものだ。東北の山川草木が踏みにじられるから、神が怒り、神が死んだのだ。東北の地は、核発電所からの放射能をばらまかれることにより、ヤマト政権によって3度目、踏みにじられたが、私には、そのような悲しみと、阿弖流為や蝦夷と蝦夷の神の悲しみが重なった。

こんなふうに、脚本はとても深いと思うのだが、歌舞伎というのは、本来理屈なしに、面白いもの。もちろんその面白さの裏には、芸事の精進が隠されているのだが、そういうこと抜きで本当に面白い。

今回は特に若い役者さんの力をとても感じた。それに歌舞伎役者はどうして皆あんなにも、ほれぼれするくらい「顔」がよいのだろう。見とれてしまう。阿弖流為役の染五郎、坂の上田村麻呂役の勘九郎。染五郎を見ていると、宝塚のファンはみなこんな感じではまっていくんだろうなと気持ちがわかる。勘九郎は、だんだんお父さんに声も似てきた。彼の出演作品を見てきたが、どんどんうまくなっていく。七之助は、一人二役。女形として本当に良くなってきてほれぼれしてしまう。女形と言えば御霊御前役の市村萬次郎さんは、どう見ても憎々しい老婆にしか見えない。すごい。こんなふうに、主人公たちも脇役たちもすべてすごい演技で、理屈なしに歌舞伎の凄さと楽しさが味わえる。

 

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