基盤が奪われている
安倍首相や、自民党の有力議員さんをツイッターでフォローすると、コンピューターのアルゴリズムは、あなたのお気に入りの思考やつぶやきはこんなんじゃないですかと、おすすめのユーザーを紹介してくれる。匿名のユーザーも多くSNSで世論を広めるための政府系の架空の‘口座’のようなものかなと思うが、フォローして、世の中の主流である思考や考えに触れて、そこから考えるようにしている。
その中には、今や「嫌韓」のつぶやきが主流だ。彼らの思考、もしくは政府が広めたいと思っている思想の中で見られる、一つの特徴は、「在日韓国人や朝鮮人は、勝手に、日本に密入国して住み着いたのだから、日本が嫌いならさっさと帰れ」というものだ。
この発想や思考は、現在の日本の格差・貧困社会を考えるうえでも大いに参照できる考え方だ。彼らには、生活基盤を奪われた人たちには、自分が持てる選択肢などないのだ、ということを見ようとしない。生きる手段を奪われたのであれば、生きる手段を求めて流れ、流れていくしかない。もっとも、安倍さんをはじめ、支持者の方々には、日本の朝鮮半島支配は、恩恵を与えたという認識であろうから、彼らの生活基盤を奪ったなどと意識はないだろう。
現在のアベノミクスという経済政策の成功のおかげで、国民の実質賃金はどんどん下がり続けている。そもそも自民党政権が進めてきた、新自由主義政策で、ここ20年間、国民の生活基盤がどんどん削られてきた。8時間普通に働いてもまともな生活はできないのだ。そもそも、人に尊厳を与える、まともな労働形態がないのだ。そのようなことが原因で、貧困状態に陥っていても、基盤がそもそも奪われているということには、目を向けないで、さぼっている人たちの自己責任、さぼっているのに生活保護をもらえるのはけしからん、となる。政府の失政や国民の生活基盤を保障する責任を追及することから目をそらせる、これほど政権に有利な考え方があるだろうか。
この安倍さんや政権党の考えや、それに唱和する考えは、女性の人権問題や性暴力にも同じように働く。性暴力被害を受けた女性は、「逃げることができたのに」「拒否することができたのに」そうしないのだから、自己責任。基盤が「奪われている」人には、拒否することも、逃げることもできない。自分が選べる選択肢はないのだ。もちろん、こうは考えない安倍さんや自民党やその支持者の方々は、戦時に朝鮮半島で女性に対する性暴力などはないと考えるのだろう。
そういう考え方でない考え方があるのではないかと、微々たる動きではあるが、主張し続け、少しでも広がり、認識といずれは行動も改めることができるようにすることが大事だ。そうでなければ、今、「韓国の女性が日本に来たら乱暴しろ」などというぞっとする言説がネット空間では広がっている。こんなことをもって言う人がいる国が、どうしたら「美しい日本」で、誇りに思える日本なのだろうか。安倍さんや自民党の推し進める政治のせいで、もう日本は壊れ始めているという風にしか思えない。
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