『老子―もう一つの道』 四十五 心を清静に保つ
【自由訳】
大いなる完成は、人から見れば、どこか欠けている。しかし、不完全なように見えて、尽きることがない。同じように、大いに満たされているものは、かえって空虚に感じられる。だがやはり、空虚のように見えても汲めども尽きぬ泉なのだ。本当の意味で直なるものは、曲がっているように見え、技術に優れている人こそ、拙き手わざに見え、大いに説得力あるものは、口ごもり口べたのように見える。寒さの冬には、体を動かせば体が温まり寒さに勝った様にみえるが、では暑さの夏はどうする。ほんとうは心静かにいることこそが、暑さに勝る。「清静」こそが目指すべきこと。
【解説】
「清静」とは「清浄」。清らかで静かななるものを求める精神性を、老子は重んじる。
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