UA-92533382-1 「アンダークラス」の筆者・橋本 健二氏のインタビュー記事: よつば農場便り

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2019年1月26日 (土)

「アンダークラス」の筆者・橋本 健二氏のインタビュー記事

本をゆっくり読む時間がなく、新聞の書評欄を見て、ああ、あの本を読みたい、この本も読んでみたいと、思いを巡らしている。1月20日付の河北新報に「アンダークラス」(ちくま新書)を上梓した橋本健二氏のインタビュー記事が載っていた。

 

キーワードは「クラス」つまり「階級」なのだ。社会主義国家のほとんどが滅んだ今時、マルクスの用語の「階級」は時代遅れだろうと思われる方もいるかもしれないが、そこを橋本氏はデータ分析から明らかにしたとのことだ。

 

今、日本では「下層階級」が存在するという。非正規労働者を中心としてその数は約930万人。平均年収は186万円で、貧困率は4割。4人に一人は健康状態がよくないと自覚し、2割の人が心の病気を経験している、とのことだ。

 

930万人と言えば、おおざっぱに日本の人口の10分の1、これは立派な「階層」であるし、「階級」と言いなせないこともない。橋本氏は「階級」の視点から日本社会の格差の研究を続けていると言う。そして、研究をする時、いまさら階級かと変人扱いをされたとのことだが、データからは、1980年代から格差が広がり始め、この30年で巨大な「アンダークラス」が形成されたという。

 

「アンダークラス」が一大「階級」になれば、この階級に働きかければ巨大な政治勢力になるはずなのに、日本はそうなっていない。私が、橋本氏の研究で興味を持ったところは、アンダークラスは、生活に不満を感じても「支持政党なし」になる傾向が強く、政治に対して期待できないため関心を失っているという。

 

ここまでインタビュー記事を読んで、これが安倍政権や自民党の強さなのかと、1つまた合点がいった。安倍政権が、安倍さんや側近の優れた手腕による強さという面もあるのだろうが、大いに幸運や運も味方している。福島核発電で、自分達が仕込んでいた時限爆弾が、たまたま民主党政権のときに破裂して全部罪を彼らになすり付けたこともそうだが、国民の間に格差と貧困が広まれば広まるほど、安倍さんや自民党政権は政治勢力を増すのだ。橋本氏の研究の通り、一大階級である貧困層は政治に関心を持たず、苦しい生活は自分たちのせいだと思い込んでいるのだ。幸運な選挙制度のおかげで、政治無関心層が増えれば、自民党議員は選挙でどんどん当選する。

 

貧困や格差については、もっと国民全体も意識を変えなくてはダメだ。彼らは、「政治に関心がない」のではなく、「関心を持つ機会」すら奪われているのだ。自己責任としてこの階級に属する人を責めるのではなく、貧困はあらゆる機会を奪い、人間としての尊厳が破壊されるということと捉え、貧困や格差是正に取り組む政治勢力が強くならなければならない。貧困を放置して、そこから最大の利得を得る政治勢力は弱くなるよう、私達は未来に向けての選択権を行使すべきと思う。


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