老子 ― もう一つの道 十三 わが身を惜しむ
【口語自由訳】
人生にはいい時もあれば、わるい時もある。その一々に反応するのが諸君なのだ。わるい時、ついていないとき、落ち込んでいる時、体が病気になった時、こんな時こそが大事なのだ。その瞬間に向き合えば、いかに自分自身を大切にし、愛すべきかがわかるだろう。
身を大切にする、つまり身命を惜しむ人こそが、人のうえに立ち天下を託するに足りる人だ。
【解説】
この章は政治的な章である。だから政治のこととして考える。
愛国的と言われる政治家がいる。お国のために身命を惜しむなと、民を駆り立てる。だが、歴史を繙(ひもと)くまでもなく、こんな政治家に率いられた国と人民には、破滅の道が待っている。
自分のことも、相手のことも、大切にできる人こそが、国のリーダーになれるという。これも老子の大いなる逆説である。
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