性急すぎる「反原発」
2018年10月7日付の『河北新報』に東北大名誉教授の宮崎正俊氏の投稿が掲載された。宮崎氏は、核発電所擁護派だが、河北新報は擁護派・反対派の別なく、公正に議論を掲載してくれるので、民主的な議論を盛んにし、そして情報に基づいた決定と行動を主権者=決定者である私たちがするためにも、河北新報のジャーナリズムの態度は尊重に値する。
宮崎氏は核発電の4つの論点に対してすべて的外れだとする。以下に氏の意見を要約してみる。
①災害に多い日本で原発の事故をゼロのすることはできない。
→科学技術が生み出したものは災害に関係なくリスクがある。設計時にリスクを最小にするようにしているが、ゼロにはならない。リスクを承知の上でモノの利便性を享受しているのだから、ゼロリスクでないといかんというのであればこの世に利用できるものなどない。
②核発電から出るプルトニウムは核兵器に使われる。
→核兵器を作るかつくらないかは政治判断。核発電と核兵器を結び付けてはダメ。
③核発電所から排出される冷却水が海を温め環境を破壊する。
→火力発電所も冷却水を流しているのだから同じことだ。
④使用済み核燃料を保管する場所がない。
→核発電所を持つ世界の国々共通の問題。日本が解決すべき問題ではなく、そのような他の国々と協力して解決する問題。
以上のように述べて、宮崎氏は「脱原発」運動は性急すぎ、核発電技術を失うのは惜しいとの心情を漏らす。
さて、宮崎氏の主張に対しては、核発電廃棄を願う私たちの方でも、また議論を起こし反論を考え、核発電擁護の人たちを説得していかなければならない。
宮城県の女川核発電所の存否は、そこに住む人たちがリスクを引き受けるのだから、国でも、時の政権でも、専門家でもなく、私達の意思表示で決めようではないか、という住民投票運動がある。住民投票の実現のためには、まず有権者の署名が必要だ。私は署名を集める受任者になっているので、女川発電所の是非住民投票にご興味のある方は、連絡をいただければと思う。
| 固定リンク
コメント