« 森千香子氏の研究紹介 続き | トップページ | 美しい日本の言葉たち ― ほのか »

2017年7月 1日 (土)

美しい日本の言葉たち ― うつろふ

(以前に投稿した記事から)

うつろふのうつは、うつすなわち空しいに通ずる。うつろふはまた漢字をあてれば「移ろう」とも書く。物事は、甲から乙へ、乙から丙へと移ろってゆく。このとき、甲が甲であり、乙が乙であるならば、なぜ、甲は乙に、乙は丙に移ろうことができるのか。それは、実は物事の本質というものが「うつ」すなわち「空虚」であるからだと思われる。春には春という充実した中身があるのではなく、そのものとして実体がなく、実体がないからこそ、夏の萌芽を内部にきざすことができ、やがて夏の芽は春の中で大きく育ち、春はすっかり中身を喰い尽くされて夏に遷移していく。夏は夏で空虚だからこそ秋をきざし秋に遷移し、秋は冬に、冬は春へと遷移してやむことがない。硬直したものは移ろうということがない。己を空しくしたもののみ、すべてを受け入れ、そのすべてのものに移ろっていける可能性を秘めている。


にほんブログ村

« 森千香子氏の研究紹介 続き | トップページ | 美しい日本の言葉たち ― ほのか »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/197245/71021709

この記事へのトラックバック一覧です: 美しい日本の言葉たち ― うつろふ:

« 森千香子氏の研究紹介 続き | トップページ | 美しい日本の言葉たち ― ほのか »