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2017年6月18日 (日)

相互監視密告社会

共謀罪法案成立の翌日6月16日付の河北新報で、今後、どのように共謀罪が成立するのか、その状況を克明に描いた記事が載っていた。それを読み本当に恐ろしくなってしまった。もちろん、安倍首相や自民党政権は、一般の人は何も怖がることはないという。安倍首相の声明機関である読売新聞を読んでも、一部の人が戦前の治安維持法を持ち出すが全く笑止なことだと断言法で書いてある。しかし、私が安倍首相や政府自民党に賛成していないという後ろ暗い立場だからなのか、この記事に書かれていたシナリオはとても他人事だとは思えない。そもそも共謀法は、どのようにも運用できるというあいまいさがあり、法的な歯止めがない。近代民主主義社会というのは、権力者の恣意によって人民の罪状が決まるのでなく、法律というぶれない物差しに当てはめて罪状を決めるというのが基本原則のはずだ。そのタガが外れてしまった、恐ろしい社会がいま来ているのではないかと危惧する。

シナリオのスタートは大学生たちだ。明らかにこの時点では一般人だろう。彼らは沖縄の米軍基地反対運動を見て参加したくなった。(この時点でもう一般人でなくなるのか?)彼らは昼間は平和団体と行動をともにしながら、夜は宿舎に泊まり、何とか資材搬入を辞めさせる手段はないものかと相談。(これでもう共謀罪はなりたったのか?)基地の入り口に丸太を置くことを相談。実行までのメモが作成される。昼間に市民団体と一緒に活動しつつも生活費を下ろすために銀行のATMにも寄る。(この行為はどう判断されるのか?)大学のゼミの仲間にもLINEを使って計画を打ち明けた。

さて、ここからが私が一番ぞっとしたシナリオだ。実行を三日後に控えた時、仲間の一人が就職のことを考え、親に付き添われて警察に相談。共謀罪が成立しているが、自首すれば処罰されないと言われ、彼は友人を売ることを悩んだが、警察に計画を明かし、仲間は逮捕。彼は逮捕をまぬかれた。

安倍さんを支持する人たちからすれば、彼はいいことをしたいいやつで罪をまぬかれて当然ということだろうが、米軍にせよ政府にせよあまりにも圧政がひどければ義憤で立ち上がろうとか抗議しようという人たちが今後だって出てくるのではないだろうか。戦前にクーデターを起こそうとした将校たちも、貧しい農村の現状に義憤を感じたということもあった。そして共謀罪の何より恐ろしいのは、密告すれば罪をまぬかれるという規定を設けたことで、これで、人民の方は勝手にお互い疑心暗鬼になり、本音を言わない、怪しまれる行動は控えるとますます萎縮が進む。権力者にとっては本当に都合の良い法律で、何も武力や警察権力をちらつかせるだけでなく、効率よく自分たちに都合の悪い人たちを押さえることができるのだ。安倍さんや自民党は、自分たちの方針に反対する人どう抑え込んだらよいのか、とてもよく研究をしている。

一見すると共謀罪とは無関係と思われることが18日付の新聞に報道された。仙台の法廷で被告が暴れだし警察官を切り付けたというのだ。報道によれば、被告は、駅のホームで女子高校生のスカート内にカメラ付きの携帯を入れたとして罪に問われた。しかし、携帯には盗撮が疑われる写真や動画がなく、被告は無罪を主張していた。また弁護側は検察が主張する犯行状況と防犯カメラの映像が一致しないということを指摘し、法廷でもその防犯映像が上映されるという異例の展開だった。しかし判決が有罪となった時、被告が「でたらめ裁判だ」「この腐った司法制度が」と叫んで切りかかったというのだ。

日本の警察と刑事裁判の問題点は、検察が刑事事件として告発したものは、ほぼ100パーセント裁判で有罪となることだ。一見、日本の警察や検察が優秀だからというふうにも思えるが、その陰で無理な証拠集め、証拠のねつ造、自白強要、えん罪などの問題点が少しづつ明るみになり始めている。その警察と検察に共謀罪という強力な武器が渡され、ますます無理強いや冤罪が増えはしないだろうか。犯罪を犯した証拠がなければ、無罪と推定する、有罪が確定されるまでは無罪とされるというような、近代民主主義司法制度は今後も守られるのか。そして、安倍政権は、自分の意に沿わない人を「風俗通いをしている人の言葉は信じられない」となりふり構わず人格攻撃をするような人たちだ。いくら一般人は関係ないから安心してと言われても、いつ自分が密告されたり、ねつ造証拠を突き尽きられるかと思うと、安心できない社会になったと思う。


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