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2017年1月 5日 (木)

橋のない川

ツタヤの戦略にはまってレンタルビデオを借りてきた。会員カードが年1回有料で切り替え。でも切り替えたらDVDが1本無料で借りられるというのだ。借りて返しに行けば、また借りて見たくなるし、これは際限のないループに落ちいらせるための優れた戦略だ。

さてぼくが借りたのは、住井すゑ原作の小説を今井正監督が映画化した2部作だ。被差別部落出身の子ども・若者を主人公に、彼らが差別を受ける実態と、そしてそこから立ち上がっていく過程を描き、京都での第1回水平社結成大会の前年にいたるところで終わる。

時代的には主人公の父親が日露戦争で戦死、日韓併合で日本国内に居住する朝鮮半島の人たち、明治天皇の大喪の様子も描かれ、やがて大正時代のシベリア出兵、米騒動という世相が描かれる頃だ。シベリア出兵と米騒動の関係なんて、歴史の時間に習って名前だけは知っていたが、なるほどこういうことだったのかと、視覚や流れで理解すると歴史に実感が持てる。

そもそも日本は日露戦争をし、シベリア出兵までして他国に干渉している。今ロシアが、第2次世界大戦で分捕ったものは、正当なものだと言って北方領土を占領するのも、ロシアから見れば当然のことだし、日本から返してくれと虫のいいことも言えない気がぼくにはする。薩長の明治政府の国策が誤っていたとは、今から過去を振り返って言うこともできない。欧米列強がしのぎを削るああいう国際情勢で、当時の政府はああせざるを得なかったのだろうし、何より国民も政府を支持したのだから、もし歴史をさかのぼって、非を探すとしたら、政府にも国民にも非がある。だとしたら、もう北方領土にはこだわらずに、あきらめるしかないと、非国民的なぼくなどは思うのだが。

映画を見て、昔も今も日本人の差別意識は変わってないなと思ったところは、米騒動の反動として、愛国団体が米騒動に加わったものに報復をする。米騒動は、富山の主婦がやむに已まれず行動を起こしたのが全国に広がったものだが、米騒動の首謀者は貧しくてコメが買えない、被差別部落の人たちや朝鮮の人たちがたくらんだことだと言って、うわさが流されるのだ。そして、愛国団体が被差別部落に焼き討ちにやってきて、村を焼き払い、そのあとに、朝鮮人と被差別部落民を犯人に仕立て誹謗する立て看板を立てていくのだ。

日本人の心性というよりは、世界共通の傾向だろうが、自分たちが差別して見下している人たちやグループがいる。何か犯罪や騒動があると、証拠を調べもしないで差別されている人たちが犯人だとして排除しようとする。これを防ぐには、やはり歴史から学び、新しく生まれてきた若い人たちに過去にこういうことがあった、人間というのはこういうことをすることもあるというのを教訓として伝えていくべきだとぼくは思う。わが国民は無謬で先祖もそんなことは一切したことがないと、例えば関東大震災の虐殺事件を伝えないようにして、いいことはないと思うのだが。


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