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2017年1月31日 (火)

「時間栄養学」という考え方

高齢社会である日本にとって、医療費の増大により今後も国民皆保険を維持し適切な医療体制を提供できるかという問題がある。膨張し続ける医療費を抑制するためにも、国民がなるべく健康であり、高齢者も健康で活動的な健康寿命を伸ばすことが重要である。そこで、医療も病気になってから対処する対応療法ではなく、病気を未病で防ぐ予防医療が中心となっている。身近に取り組める予防医療の基本は「食生活」である。実際、食生活の乱れは、生活習慣病を生み、そして日本人の死因の上位は生活習慣病であるがん、心臓病、脳疾患が占める。いま「時間栄養学」という考え方がある。1月30日付の河北新報の記事を参考に、「時間栄養学」の考え方を要約する。

私たちの体の中にある自然なリズム「体内時計」と栄養学を結び付けた考え方が「時間栄養学」である。人は朝日を浴びると体内時計がリセットされるが、肝臓や腎臓などの臓器の時計は規則正しく食事をとることでリセットされる。肥満のなりやすさも体内時計と関連があり、例えば、腸が糖質を取り込む時間のピークは午前中であり、糖は効率よく吸収される。しかし夕食時間が遅いと、眠るまでにエネルギー源として使いきることができず、脂肪としてため込まれてしまう。

こうした科学的知見というのは、それを現実に応用し、(この場合は、病気予防に応用し)効果を上げることが見込まれる。よく言われるように、肥満を防ぐには朝食をしっかり食べ、夕食を押さえるというのは、時間栄養学の観点からは「理にかなった」ことだということがわかる。

高齢者の筋力の低下や活動力の低下を「フレイル」というが、たんぱく質の摂取がフレイルの予防になる。では、どういうタイミングで食事を取ればよいのか。実験では、1日の食事量が同じでも、朝早く食べたマウスとそうでないマウスでは筋肉量に差があったという。時間栄養学によれば、朝はアミノ酸などの吸収力が高く、日中は筋肉を動かす機会も多い。このタイミングでたんぱく質を取ることで筋肉が増えやすくなると、わかる。

さらには、目的によっては時間を選んで(夕食で)食べた方がよいというものが何かということも、時間栄養学でわかる。骨粗しょう症の予防を目指すのなら大豆イソフラボンの食品を夕食でとるのが良い。なぜなら、骨は夜つくられるのでそのタイミングに合わせて取ることで効率よく使われるのだ。

なかなか「時間栄養学」は興味深い。この研究がもっと進んでいけば、「インフルエいざにかからない食事とその取るタイミング」とか、「スポーツの大事な試合に勝つための食事とそのとるタイミング」などということも科学的に解明されていくのかもしれない。

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