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2017年1月18日 (水)

震災とデマ

東日本大震災直後に宮城県では「被災地で外国人犯罪が頻発している」というデマが流れた。そのデマを仙台市民の8割以上が事実だと信じたという調査結果を地元の東北学院大学の郭基煥教授が発表した。それを報じた1月16日付の河北新報の記事に注目したので、わたしの気を引いたところを記事から要約する。

まず、「外国人犯罪が増えた」ということについては、宮城県警ではうわさが事実でないと確認し、流言を否定するチラシを避難所に配り、治安が維持されていることを強調した。また、記事では県警の言葉を引用し、県内の刑法犯罪者に占める外国人の割合の統計を見ても、震災のあった2011年は特別に高かったとは言えないとしている。

郭教授が自分の調査について語っている内容も興味深かった。まずデマが拡散する心理として、「震災当時、新聞やテレビで「被災地と日本人は秩序正しい」と盛んに報じられたが、その一方で実際は犯罪があった。秩序の正しさと現実の犯罪が一致しない人々の意識内のギャップを埋めるために外国人の犯罪にする。そうすれば矛盾がなくなり、デマが拡散する」

「昨今のヘイトスピーチ問題と災害の頻発を考えると、デマが起こる可能性が高まっている。東日本大震災のデマが十分検証されていないので、次の震災や事故時には何かをきっかけに悲劇が起こることは考えられる」

郭教授の研究はとても貴重だと私は思う。核発電事故にせよなんにせよ、本質が解明されないまま、表面がつくろわれていくことが多い。まして歴史事例については、不都合で見たくない真実は見ないようにしたいという風潮が強い。関東大震災時の流言飛語によって朝鮮人・中国人が虐殺されたこと自体そういうことはなかったとするような風潮の中では、東日本大震災時のデマの本質も解明されないまま、また次の震災や大規模な事故に私たちは直面することになる。郭教授の研究は、歴史認識にもつながるなと感じていたら、本年の河北新報の「論考2017」は佐藤卓己氏が執筆することになった。1月17日付の第1回が、また興味深かったが、また次回紹介する。


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