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2016年12月30日 (金)

1年を振り返る

この1年を振り返るのに参照するのに値する論考をもう1本、河北新報12月27日付の記事から要約する。それは上田紀行氏の「論考2016」だ。

今年はどのような年であったかを考えるときに上田氏はイギリスのEU離脱国民投票とアメリカのトランプ次期大統領当選の2つを挙げる。

この2つの出来事の背後に上田氏は、グローバル資本主義の中で不満を募らせる低所得者層の存在と、保護主義により自国の利益確保を優先すれば生活が改善するのではないかという期待があり、それは多くの国の移民排斥運動の高まりと軌を一にすると指摘する。

さらにそういう現象を分析し、今年は人々の本音が噴出した年だと見る。「一つの欧州などきれいごとを言ってないで、自分たちの困窮を救ってくれ」「世界の平和と民主主義に貢献する「世界の警察官」などという前に不法移民を追い出して職を取り戻してくれ」。崇高な理念や協調関係よりもまずは自分たちの利益を確保してくれという本音である。

上田氏が危惧するのは、「本音を語ること」=「自己の利益のために他者を攻撃、排除してもいい」と曲解する風潮が高まっていることだ。そこから日本に目を転じ、相模原での殺傷事件、橋下徹氏や百田尚樹氏など歯に衣を着せぬ、本音を売り物にする著名人の人気ぶりに言及する。

こういう流れの中で、希望はないのか?上田氏は人間の本音がすべて利己的、攻撃的だというわけでなく、本気が人の心を動かすともいう。例えば、平和をキレイ事ではなく本音で願い行動している人、独裁国家で命がけで人権を希求している人、そしてオバマ大統領の広島でのスピーチが感動的だったのは、美辞麗句だけでなく、彼のいくばくかの本音が感じられたからだという。

私がこの上田氏の論考を読み、来年に向けて希望を感じられたのは、次のようなまとめだ。「私たちの中に様々な本音が共存するが、その中から何を本音で語りだすかが人間の在り方を決定していく。偽善だ、きれいごとと冷笑されても、本気で世界の苦しみに向かいあい、共に支えあって生きていこうという本音に、私たちは深い人間性を感じ、心動かされる。」

上田氏はこう問うている。「他者にレッテルを張り、「あいつら」呼ばわりして攻撃、排除するような本音を語り合いたいのだろうか。日本をそんな国にし、そんな本音を子どもたちに伝えたいのだろうか」

ぼくの答えはNOだ。現行憲法を維持する立場に立つと時に平和ボケなどと揶揄されるが、堂々とそして曲折や困難はあろうとも、本音で、平和、共存、人権などを述べていこうと希望が持てた論考だった。


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