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2016年12月12日 (月)

ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマ 「ノルマ」

今日は3600円で気軽にロンドンのコベントガーデン歌劇場まで旅行をしてきた。演目はベッリーニ作曲の「ノルマ」。舞台はローマ帝国に占領されたガリア地方だが、インタビューで語っていた演出家も言っていたが、政治状況などが極めて現代的であるので、舞台は現代で演出されていた。つまり、帝国的な国力と軍事力を持った一国が、被占領地を支配し、被占領地の宗教や伝統といった人々の心の一番敏感なところを踏みにじる。被占領民は、卑屈な従属を受け入れるのか、誇りある独立をかけて立ち上がるのか心を迷わせる。

被占領民は森の神を信じるドルイード教徒たちというのも、時空を超えていま私たちが置かれている状況などを思い起こさせることもあったが、これは政治劇ではない。何より、ベッリーニの音楽が一分一秒のスキがなく美しい。間奏も伴奏も、もちろんすべてのアリアや合唱の旋律が。何より、主人公ノルマの苦悩と生き方が。ノルマは、被占領地の宗教団の首領だ。日本で言えば卑弥呼のように占いにたけ政治的にも自民族を率いていく。しかし、敵であるローマの総督と結ばれ、二人の子どもを設ける。そこで、彼女の女としての、母親としての、リーダーとしての、最後は、軍団長がノルマの父だとわかるので娘としての苦悩が一身に集まるのだ。ノルマは無実の若い女性に自分の罪をかぶせるような卑劣な女ではない。その気高さをソプラノのソーニャ・ヨンチェヴァが良く演じていた。彼女の凄い存在感に見とれてしまう。引き込まれてしまうとなかなかロンドンの劇場から現実の日本に帰ってくるのは難しい。

話の筋としては悲劇的な最期が待ち受けているのだが、親子の苦悩などにはつい感情移入してしまうので、涙なしには見れなかった。


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