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2016年11月17日 (木)

トリスタンとイゾルデ

ニューヨークメトロポリタン歌劇場の新しいシーズンが始まった。その第1弾がワーグナーのトリスタンとイゾルデ。ワーグナーの楽劇はいつか見たいと思っていたが、ついに念願がかなった。何しろ長時間公演なので見る機会もなかったが、この5時間は本当に見ごたえがあった。ラストはイゾルデがあの有名な「愛の死」の無限旋律を歌うのだが、この部分だけをつまみ食い的に聞いたのではやはりだめなのだ。そこに至るまでの5時間があってこその、悲劇的な大破局なのだ。

台本はアイルランドの姫イゾルデが婚約者を殺した男トリスタンを愛するという話だ。加害者の男を愛するなんて非常に現代的なテーマにもつながるのかと思ったが、愛することになるきっかけは魔法の妙薬。ケルト文化を持つアイルランドが不思議な魔法の国と思われていたことから生まれたのだろうか。内容はとても中世的な話で、ヨーロッパが近代化する前には、「暗黒」の中性が近代化がたかが100年足らずの歴史に対して、2000年近くの厚みを持った重層をなしているヨーロッパ史が反映したものだろうか。しかし、その中世的な内容を、演出がシュールに近代的に描いている。メトロポリタン歌劇場の、現代の観客に訴えるオペラという方針も感じられる。

内容は3幕。どの幕も長大でじっくり歌って聞かせるが、やはり最後の破局に至るには全部必要なんだなと思う。「愛の死」のテーマが何度も登場するし、やはりワーグナーの音楽はいいなと思う。映画では俗人に描かれることも多いワーグナーだが、同時代人もその音楽の才能にほれ込んだのだろう。イゾルデ役のニーナ・ステンメが素晴らしかった。オペラの最高の舞台に選ばれる、ということはスーパースターだ。スーパースターは人をうならせるものをやはり持っている。
ちなみにニューヨークまでの飛行機代も現地滞在費もかからない。映画館で観れるライブ・ビューイングが公開中なので、それを見に行く。


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