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2016年10月16日 (日)

維持する力 その2

既成を維持する力に貢献しているものとして、やはり大きいのは「教育」だ。教育は、今ある枠組みを疑ってはいけないと教えていて、これも日本の現状維持、何も変わらない日本の維持に役立ち、結果的に政治の世界では、地方をはじめ中央でも自民党政治という長年の既成勢力が4分の3以上の絶対的支配をほとんど達成するのに大いに役立っている。枠組みを疑わないおとなしい国民なので、彼らは何をやっても許されるのだ。

そんなふうに考えたのは、10月4日付けの河北新報に掲載された演出家の鴻上尚史さんの「枠組みを疑う」という随想を読んだからだ。鴻上さんは演劇関係の仕事をしていて、昔の演劇人はハチャメチャな人が多く、よい意味でも悪い意味でも「自分が普通であること」を激しく嫌悪する若者が多くいたと書いていた。

今の若者の特徴をエピソードを挙げて説明している。その一つは、芝居で使う釣竿を若いスタッフが100円ショップで手に入れてきた。テープをまいて芝居にふさわしい外見にしたのはいいが、芝居で使うのに使い勝手がいまいちよくない。どうしたものかと悩んでいる若いスタッフに、鴻上さんが「短く切ったら」とアドバイスをしたら、「そんなことをしていいんですか?」という反応が返ってきた。

もう一つのエピソード。芝居では装置や小道具を置く場所を正しくするために印をつける。東京公演の後で地方公演をするときにも、東京でしたのと同じ位置に印をつけようと必死になる。鴻上さんいわく。東京公演でふさわしい位置であっても地方の劇場ではそれぞれにふさわしい新しい位置が生じるはずなのに。

これらのエピソードから鴻上さんは、最近の若いスタッフは「枠組み全体」を疑うという思考をほとんどしないと指摘する。彼らは与えられた「枠組み」は当然の前提で、それをまじめに受け入れたうえで、その中で自分が何ができるかを考えているようだという。そこから鴻上さんは、枠組み自体を1回も問わないまま前提を受け入れて思考する生徒が正しい生徒だと学校で教えられ続けてきたからそうなったと想像する。もちろん表現のためには、面白くもなく陳腐なものしか出来上がらない。

もちろんこういう若者を批判する権利はぼくにもほかの誰にもない。そういう若者を育ててきたのは、ぼくをはじめ大人たちで、一番反省すべき悪いのは大人だろう。枠組みを疑わない若者たちの間で安倍首相や自民党の人気は当然高い。

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