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2016年9月25日 (日)

読書感想文マニュアル論争

高校生に文章を「書く」ことを教える仕事をしている関係で9月23日付朝日新聞の「読書感想文マニュアル論争」に興味を持った。小学校の長期休みでよく出た宿題、読書感想文を書く。もちろん全国にはこの宿題を大変苦手に思っている生徒たちも多い。そこで、読書感想文の書き方を「マニュアル化」して配った学校が現れたところ、文章を書くことのマニュアル化をめぐって論争が起きたということを紹介し、読者の反応をまとめたものだ。

読書感想文については、私自身も、実にいやな宿題だったという思いがある。読書は楽しい。でも楽しいままで終わればいいのに、なぜまたさらにその感想を書くかなくちゃならないのだろう。小学生の頃、漠然とそう思っていたような気がする。その後、大野進さんの「日本語練習帳」(岩波新書)が大ヒットし日本語ブームが起きた。ぼくも仕事がらその本を読んでみて、大野さんが「読書感想文」に対してものすごく批判的であり、感想文はやめて「要約」をさせた方がよい、その方が読解力も上がるというのを読んで、なるほどと共感していた。大野さんによれば、大学で「要約」の授業をやると学生たちも生き生きと取り組み、その後大変力がついたと感謝されるという。ぼくはこれを読んで、その後はもっぱら学生たちには「要約」を勉強法として勧めている。

ただぼくは、書くのが苦手な生徒さんに対しては「型」を覚えるのも悪くないと勧めている。何も書けないよりもまずは型に沿っていれば書けるからだし、内容は後から力を付けていけば充実させることができるからだ。もちろん、これは当の生徒さんの状況や実力にもよるので、それこそ一律の「型」にはまった指導はできないと思うが。

さて「朝日」から賛否の論点を求めてみると、
・賛成派…「いやいや書かされているよりは、マニュアルを整備して、制限された状況で伝えるべきことを文章化する訓練として感想文をとらえた方が有益」「多くの子どもが苦手意識を持っているので、型を教えるのは安心して書くために必要」「型にそって書けば画一化するが、子どもが本を読み自分の力で書いたことをまず評価すべき」「まず書いてみて、それを出発点として、その後書き方の工夫をすればよい」

・反対派…「課題を表面的に処理し、形だけ整った文章を書く弊害をあとに残す」「小学校から高校まで、書くことをもっと系統的に学ばせるべき」「目先に要求に負けてマニュアル化するのは、現代の教育に共通する問題点」「マニュアルの必要はないが、子どもに「書き方」は教えるべき」

・感想文を課すこと自体に反対…「本を読み終えた後の余韻を味わうのが楽しいのに、感想文で結論を急がせる必要はない」「どうしても感想文を課すのであれば、他人と同じにならないように感想文を書いてくることと指示を出し、他者の感想と比べて、発想に違いを学ばせるとよい」

さて、あなたはどっち?

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