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2016年8月22日 (月)

自分探し

"The best American Science and Nature Writing"より気になった記事をさらに紹介する。Vergina Hugesの書いた23 and Youというレポートだ。このレポートには、自分探しで苦労するアメリカの女性が書かれている。どうやって自分探しをするのか?それは自分のDNAを分析することによってだ。

アメリカには人々のDNAの分析を気軽に請け負ってくれるベンチャー企業がある。インターネットでホームページが公開されていて、会社が送ってくるキットにDNA細片が採れるもの、例えば唾などを入れて送り返すとDNAを分析してくれる。最初は分析の値段が高かったが、技術の進歩や依頼する人数が増えて今ではやろうと思えば誰でもできる値段になっている。

このDNA分析のユニークなところは、送ったDNAはデータベースとして会社に蓄積されるという点だ。究極の個人情報であるDNAである。しかしそれをデータベース上に公開されることを同意するメリットというのは、DNAのマッチングをしてくれるということだ。自分と似たDNAを持っている人がいないか、自分のルーツは誰なのか、ということを知りたいと思っている人が利用するのだ。

23 and Youというレポートには、幼少時の体験から自分は父親の子どもではないのではないかと考えた女性が、自分の本当の父親や兄弟を求めて、サイトでDNAマッチングをし、そしてそうではないかと思った人に実際に連絡を取り会いに行くところなどが書かれている。生物学的に言えば、兄弟であれば何%、いとこであれば何%のDNAを共有するということがわかっているし、性染色体の関係から父系のみに伝わってくるDNAもあるのでそういうものを利用するのだ。

姉妹かと思って会った人がのちに関係ないとわかりがっかりしたものの、二人は仲の良いかけがいのない関係になったことなどが書かれている。そもそもアメリカというのは、日本と違っていいと思ったらとにかくやって見るというところがあるので、こういうベンチャー会社も生まれ支持されるのだ。もちろん、個人情報をどうするのかという議論も紹介されていたが、問題はとりあえずやってみた後でという感じだろう。また、日本と違って養子縁組もたいへん多いので、養子になった人が大きくなって自分のルーツは?と思い悩むケースというのもたくさんあるからだろう。23 and Youというのはこのベンチャー会社の名前だ。たぶん人間の染色体が46本あり、その半分ずつが父母から来ることからきているのだろう。

日本では、こういうDNAマッチングは当面は受け入れられないだろうなと思う。日本ではそもそも親戚づきあいなどが伝統的に決まったものとしてあり、親せきの範囲もわかっているので、DNAから見た自分探しということは起こらないのだろうと思う。この夏、いろいろなことがあってしばらく会っていないいとこやおばさんに会いたいとしきりに思うようになった。DNAの力は、理性的に考える力よりも人間の思考や行動に大きく影響すると思う。アメリカのような社会でその要求を満たすとしたら23 and Youのようなあからさまな試みなのだろう。

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