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2015年11月26日 (木)

希望の牧場・ふくしま

他のところにお住いの人はなかなか問題が見えてこないだろうが、福島核発電の事故がいまも継続し影響が解決されていないものに、「汚染稲わら」という問題がある。ちょうど核発電所が爆発したあの3月に、宮城県の畜産農家さんたちは田んぼに稲わらを刈って干しておいた。牛のエサにする貴重な資源だし、循環型農業としても素晴らしい取り組みである。ところが、放射性物質が上空から降り注ぎ、貴重な資源を汚染してしまった。宮城県では知事や県の方針もあって、放射性物質は飛来していないという立場だったので、畜産農家さんたちは汚染稲わらを牛に食べさせる。そして、肉を検査してみて初めて高濃度の放射能汚染がわかり、貴重な稲わらは行き場所のない汚染物質となってしまった。

稲わらをまとめてロールというものにして農家さんは保管しておくのだが、ぼくもそのロールのすぐ近くで放射能測定器を当てさせてもらったことがある。計測器はけたましい音の警告音を鳴り響かせる。稲わらはどこにももって行きようがない。環境省や宮城県知事は、宮城の山中に一か所に集めて処分場を造る予定でいるが、そこは貴重な水源があるところで、地元の住人たちをはじめ、そんな環境汚染はぼくも許し難い。そこで、やはり核発電には許容的な仙台市では、一般ごみと一緒に焼却し始めている。もちろんこれも大問題だ。市民派の測定では、焼却場の煙が流れてくる地域では、放射性濃度があがっている。どうして私たちが余計な被ばくをしなければならないのか。推進派の人たちは、本当に「ちょっとの放射能であれば健康に良い」とでも考えているのか?

さて、福島に希望の牧場というところがある。本来、放射能に汚染された福島の牛は殺処分だ。ところが、牛を大事にしてきた農家さんの気持ちがそんなこと許せるわけがない。国の指示に抵抗して、牛を殺さず飼い続けている牧場が希望の牧場だ。牛を売って餌代を回収するわけにもいかないので、牛を買い続けるためのコストやえさで困っている。だが、牛を飼い続けるのは、核発電事故によって生物にどういう影響が出るのかを調べるためにも、貴重な学術的研究という面からも大事なことなのだ。

問題を解決するよいアイディアは、宮城にたくさんある稲わらを希望の牧場に送ることであり、牧場主もそれを望んでいる。行き場のない稲わらを宮城県の白石市が牧場に送ったところ、牧場が位置する浪江町の町長が白石市に抗議した。「汚染廃棄物を町内に持ち込まれると、町民の帰還の妨げになる」というものだ。貴重な自然の恵みである稲わらが「汚染物質」に成り下がってしまうのが、核発電事故だ。原発立地地帯の方や、日本全国の方にもこのことを知っていただきたい。そして白石市の方の言い分は「稲わらは廃棄物でなく飼料である」というものだ。本来対立するはずもない立場の人たちを、分裂させ不幸にするのが、核発電だ。核発電をやるのであれば、こういうことがついてくるということを知ってもらいたいのだ。


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