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2015年10月18日 (日)

木村真三さん講演会「ベラルーシ・ウクライナと飯館村」

日本キリスト教団東北教区放射能問題支援対策室いずみ主宰の木村真三氏講演会に参加。木村氏は放射線衛生学者。震災前からチェルノブイリ原発事故の調査にかかわり、福島核発電所の爆発後は現地入りして放射能測定や土壌汚染のサンプル採取を行った人だ。今回の講演では、木村氏は飯館村の住民伊藤氏を私たちの紹介してくれた。飯館村は、核爆発の汚染雲が運悪く降り注いだところで、放射能汚染がひどく全村避難を強いられているところだ。伊藤氏が強調していたが、それはたまたま運悪く飯館村であったのであり、本来は私やあなたの住むところであったかもしれないし、日本中に住むどこにでも起こる出来事なのだ。(鹿児島の川内市近辺の方々や四国の伊方の近くの方々に、ぜひ考えていただきたいことだ)

伊藤氏は木村氏の協力や助言を受けながら、様々なものの放射能測定をしている。その市民科学者といってもよい姿勢や行動力は称賛に値する。飯館村では2年後の帰村と小中学校再開を目指して、無条件の帰還運動が加速している。そして、村民のふる里に帰りたいという気持ちに付け込んで、政府や政府に協力する民間団体による「帰還事業」も強力になっている。政府にとっては、可愛い東電の賠償金も減ることでもある。だが、放射能汚染地で本当に暮らせるのか。感情論でもなく、無知による恐怖心からでもなく、それを判断するに、やはり必要なのは、ぼくの経験から言っても測定データなのだ。もちろん帰還事業に熱心な国や県は、これくらいの放射線は体に何の影響もないという初めから決めつけた立場である。伊藤氏はさまざまな物を測定している。

除染すれば大丈夫というのが国や県の立場だが、自然減衰以上には大して放射線は下がっていない。もちろん国や県はもうこれで十分という立場であるが、それは核爆発以前の規制値を何十倍にも上げているからである。また、飯館村のように山に囲まれた美しい村では、山に降り注いだ膨大な放射能は除染しようがなく、また山林の放射能の挙動はまだ誰も調べた人などいず、すべてはこれからなのだ。住宅のまわりの表土をはいだところで、山から強い放射線が飛んできて、地表5センチよりも1メートルの方が高い所がある。除染作業でほこりが舞う、それを伊藤氏は集塵機で集めて空中の放射性物質を測定する。対照地区の長野や新潟の何十倍だ。やはり汚染地で暮らせば、呼吸から放射線を吸い込み被ばくするのだ。(それは、福島だけではない、爆発による放射性物質が降りそそいだすべてのところもだ)。山の腐葉土には25万ベクレルもの放射性物質が含まれる。山からとれるキノコや山菜も当然汚染される。村で珍重されていた自然の恵みであるキノコは最大で5万ベクレルも汚染されている。しかも、山のものは、年を追って右肩下がりに汚染がなくなっていくわけでなく、増減を繰り返しているものもある。今後のことを考えれば、本来なら国を挙げて放射能の挙動や生物濃縮などを調べていかなければならないのに、伊藤さんのような奇特な人がやっているという現状。伊藤さんは、スギや広葉樹のどこにセシウムがたまるのかということを調べているし、カエデや赤松の幼樹がどのように放射性物質を吸収しているのかということも調べている。

このような美しい村で、本来であれば生活の大事な一部である山の恵みが汚染されている。そのような事実も踏まえて、すべてを総合的に考えて、帰村すべきかどうか、そこに住むべきかどうかを、個人で考えないといけない立場に飯館村の人たちは置かれている。自分の経験で言えば、ぼくは里山の暮らしに価値観を置いていたから、里山が汚染され薪も山菜も野草も取れなくなったことが、そこで暮らすかどうかを判断する一つのポイントとなった。肝心の木村氏の講演内容は、次回チャンスがあればまた書き綴ろうと思う。


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